コラム

 

お金に「強い」ということは

■答えを自分で出すために

 先日、私の尊敬するカウンセラーが「流行っているカウンセラーって、気持ち悪いよね?」と言われた。「それって、『もう、あなたなしでは生きていけない』という人をたくさん作るってことでしょ?」と。確かに、答えを人から出してもらうことに慣れてしまうと、自分で答えを出す力は失われるかもしれない。我々FPにとっても、心を衝かれる指摘である。
 世の中は複雑だ。迷わないためには、まず自分自身の家計を把握する、最低限必要なことだと言って良いだろう。さらに、自分の家計だけではなく、社会全体の中での家計の役割を感じることが重要だ。

 

■家計をとりまくお金の流れ

 下図のように、私達はモノやサービスを生み出すことで収入を得る(1)。自分が提供したエネルギーの対価である。その収入で、今度は自分では生み出せないモノやサービスを得る、つまり消費をする(2)。自分にとって価値の高いものを、なるべく安く手にいれるために努力する。その価値観は人それぞれである。また、収入を全額消費で使い切ることはできない。一部は税金や社会保険料として国や住んでいる地域に納める(3)。このお金は自分も含めた社会全体のために使われる。さらに、一部は将来の消費のためにとっておく、つまり貯蓄だ(4)。お金を貯めることが目的でない。あくまで、将来の自分が必要とする何かのためにとっておくのだ。その際、ただとっておくだけでは増えないので、誰かに貸すなどして増やす。確実に返してくれる相手に貸すのが預貯金、ひょっとしたら減るかもしれないが、うまくいけば大きく増やしてくれるかもしれない相手に投ずるのが投資、である。だから、私達は、この「自分が生み出した大事な価値を誰に役立ててもらうか?」を真剣に考える必要がある。

 

図 家計を中心としたお金の流れ

 

■金は天下のまわりもの

 また、私達は稼いだお金だけでは買えないモノを得るために借金をする(5)。それは少しずつ返していくが、今だけでなくずっと返し続けていけるかどうかの見極めが肝心だ。この借金の源流は誰かが稼いでくれたお金である。誰かが自分に貸してくれている。その誰かは、このお金を生み出すためにきっといろいろな努力をしたことだろう。タンス預金がツマラナイのは、お金の流れがそこでストップしてしまい、誰の役にも立たないからである。

 自分自身の家計について、(1)≧(2)+(3)+(4)+(5)の状態であることは、まず最低限の確認事項である。そして、単に不等式を合わせることだけに終始するのではなく、1つ1つについて、自分が納得できる「価値ある流れ」になっているかどうかを、感じることが大切ではないかと思う

 

■1人1人が強くなければ世の中は良くならない

 さて、いろいろな人が日々努力をして様々なモノやサービスを生み出しているが、その総計がGDP(国内総生産)である。学生さんにそう説明して「だとしたらGDPを左右するのは誰?」と尋ねると「自分達1人1人だ。」という答えが返ってくる。しかし、社会人になると「自分以外の誰かが悪い。」というふうに考え方が変わってしまうのは何故だろう?FPとして、セミナーや相談業務を行う際に、人を「弱く」してしまう話をしてはいないだろうか。仕事をする上で、私のキーワードは「強さ」。聞いて下さった方が、お金に対してもいろいろな意味で「強く」なれるような仕事をしていきたい。

 

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